■第5回 cobaltさん(2009/09/12)■


シナリオ作者。2009年初頭に『深き淵から』で鮮烈なデビューを飾り、続く『桃源郷の恋人』でその評価を揺るぎないものとした。自サイトinfinityでシナリオを公開しており、PC間の会話を重視する緻密な作品で絶大な支持を得ている。



――2009年のCWシーンも前半を終えましたが、振り返って見ればcobaltさんの登場が大きかったと思います。cobaltさんは”遅れてきた大器”という印象を受けますが、実際のところプレイヤーとしての期間も含めるとCW歴はどのくらいになるのでしょうか。
「いきなり恐れ多い評価で恐縮であります。プレイヤーとしても10ヶ月ぐらいですね」
――CardWirthを知ってすぐにエディタを触ったということになりますね。
「2008年の正月休みに1ヶ月ほど、今年の正月休みにさらに1ヶ月…プレイヤー暦2ヶ月ぐらいでエディタを開いた…と思います」
――優れたシナリオ作者にプレイオンリーの期間の長さは関係ないとは思っていますが…、それはストーリーテラーとしての話で、やはりエディタワークについてはそれなりの期間を要すると思うのですが。
「プログラマーをしておりましたので、その影響があると思います。インタプリタ言語に近い感じですね。とはいえ、自分はほとんど担当したことがないのですが。関数、引数、返り値としてパッケージやステップ、選択メンバをアレコレするのが楽しかったです」
――なるほど。プログラマーとしての経験が緻密なエディタワークを支えているんですね。逆に経験がある分、違和感を感じた部分はありますか?
「違和感はあまり感じませんでした。古い言語の仕事も多かったので、逆に融通が利くなあと感心しました。”○○と等しい”、”○○と等しくない”を実装するのが面倒なぐらいでしょうか」
――cobaltさんはそのエディタ技術を活かして『深き淵から』でも『桃源郷の恋人』でもPC間の駆け引きを非常に充実したものにしていますね。これはcobaltさんの作風として一般に認知されていると思いますが、ご自身ではどう考えていますか。
「作風ですか…。うーん…、なんかこうなっていった…といいますか…。シナリオを作ってみようと考えたとき、ちょっと変わったものがいいかなと思いまして。でもどうせなら遊んでくれる人には楽しんで欲しいですし、つまり、”ワーシストは何を愛するか?”と。それは”宿の6人”だと思うんです。まるで本当にどこかで生きて冒険しているかのように、そう見えたら面白いだろうと…。それで、仲間とのコミュニケーションの充実が具体案となった、といいますか…」
――藤野亭の何でもアンケートでも、”現在CWをやっているのはどうしてですか?”という質問に対して”PCの細かい設定を自由に作れるから”という回答が最多得票となっていますし、CardWirthの最大の魅力はPCにあるというニーズを受けたわけですね。
「エディタを触り始めたころ、竹庵先生のところで勉強しまして、PCに設定をつけるクーポンが色々あるようだし、そのためのユーティリティシナリオも充実しているように見えたので、きっとCardWirthをやっている人たちはそういうのが好きなんだろうなぁ…と考えたのです」
――そういう点では、特定のPCが別のPCやNPCと特殊な関係を持つというのがとても魅力的だと思うんです。例えばcobaltさんのシナリオではPC間の関係を手動で設定できますし、『深き淵から』では囚われのPCがあるNPCと関わりますよね。ともすればNPCのお助けキャラになりがちなシナリオが多い中で、PCが本当に物語の登場人物になっているという。
「そう感じていただけたら嬉しいですね。コンシューマーゲームだったら普通のことだと思うんですが、どんなPCもバッチこーい!なCardWirthではあまり見かけないというか、対応しにくいんだと思いますが、お気に入りの”宿の6人”にドラマが感じられれば、かなり楽しんでもらえるんではないかと。とは言え、自分のシナリオも人を選ぶとは思いますけど…」
――人を選ばないシナリオを作るのは本当に大変なことですよね(笑)。さて、『桃源郷の恋人』ではエフェクトブースターを活用しています。エフェクトブースターは演出の自由度を高めるツールとして有用ですが、扱いのむずかしさがネックになっていると思います。cobaltさんはどのような印象を持たれましたか?
「確かに難しいといいますか…JPYMakerとか使ってみたんですが、うまくいかなくて…。CardWirthは全てがカードで表現される…のが基準ですので、多少でも使えれば大きい!と思いました。セルを使った表現では難しいフェード系を利用することで、映画的、叙情的な印象が与えられると思います。吹きだしエフェクトは配布したりしたら使いたい方もいるのでしょうかね」
――そうですね。技術のある方がTips集としてjpy1等のファイルをリソースとして公開すれば初心者でも扱えますし、需要はあると思います。cobaltさんはリソースの配布、いかがですか(笑)。
「関係で漫才できるリソースを考えたことはあります。さくっと漫才シナリオができるという。でも関係をアレコレするパッケージにはまだまだバグがありそうですし、クーポンもどれだけ対応するか…。とりあえず、吹きだしリソースはありえるかもですね」
――それでは最後に。第8回鈍色の箱の最多得票は『深き淵から』でまず確定だと思いますが、そうすると第9回鈍色の箱で『桃源郷の恋人』でのcobaltさんの連続最多得票も期待してしまうところです。その辺りは意識していますか。
「か、確定とか…(汗)。ひえ〜…なんか身に余るアレ、アレであります。間違いなく嬉しい!何か大丈夫かと思ってしまいます。かのクエストさんにインタビューのお声を掛けていただいたりね…。意識はしてるのかもしれません、ある意味ピンチ的な何かで。支離滅裂ですいません。こうした嬉しい事象に応えるために自分に何ができるか、というのに目が向きますので、…そういう意味では身が引き締まるってのが一番近いと思います」
――今後もcobaltさんの一層のご活躍、一ファンとして期待しています!
「あ、ありがとうございます!頑張ってみます」


Illust→RocketPencil
Material→FLOP DESIGN


[mailto:kurt_godel_1906@infoseek.jp]
Copyright © 2009- Quest all rights reserved.

inserted by FC2 system